実歴阿房列車先生
昨年9月に平山三郎さんの「実歴阿房列車先生」という本が中央公論新社から出版されました。1965年に刊行された単行本の文庫版です。平山三郎さんは内田百閒の鉄道紀行「阿房列車」に百閒の同行人として、ヒマラヤ山系という名で登場する国鉄本社の職員です。
国鉄部内誌に掲載する随筆の執筆を依頼することから近づきとなり、内田百閒の旅行に多く同行し、その様子は阿房列車の中でよく肴にされています。作家と編集者という関係を超えた師弟関係のようなものを感じます。
その平山三郎さんから見た内田百閒が書かれているのがこの著作です。二人の出会い以前の内田百閒の生まれた頃からの話から始まり、まさに「実歴」です。百閒が平山三郎さんを信頼してにいろいろな話をしていたことがわかります。
もちろん旅の様子も記述されていて、その上で阿房列車を読むとその時の旅が立体的、客観的に浮かび上がるような気がします(まだ阿房列車を読み返していないので軽率なことは言えないのですが)。
半世紀以上前の著作ですが、当時の鉄道風景を知る上でも貴重な著作です。ぜひ一度お読みいただければと思います。
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