近鉄ビール電車の旅(びわ湖疏水船2)
全員が着席すると船はスタートした。平均斜度は1000分の0.5パーミルだが、川の流れは意外と速い。出発するといきなりトンネルに入る。このトンネルは長さ2,436メートルで、完成当時は日本一長いトンネルだったらしい。トンネルの入り口には伊藤博文の揮毫による「気象萬千」という扁額(文字の彫り込まれた額)が掲げられている。千変万化する氣象と風景の変化はすばらしいという意味らしい。
トンネルの中に入ると100mおきに距離標が現れる。また壁面にはロープが張ってあり、上り方向の船は昔はこのロープをたぐって船を進めたらしい。途中には「JR」という標識も現れる。この上を湖西線が通っているらしい。
こちらはトンネル内部にある琵琶湖疏水を提唱した第3代京都府知事北垣国道の扁額。「寶祚無窮(ほうそむきゅう)」と書かれている。皇位は永遠であるという意味らしい。
トンネルの中間地点には天井に穴が空いていて、一瞬だけ空が見える。このトンネルを掘る際に両側から掘り進めるとともに、中間地点に立坑を掘り、そこからも左右に掘り進め工期を短縮したらしい。掘り進めた出合いの部分の段差はわずか6センチほど誤差だというから、明治初期においても日本には素晴らしい土木技術があったようだ。
出口が見えてきた。天候が良いと入り口から出口が見えるとのことだが、この日はトンネル内部に霧が立ち込めていた。トンネルを出ると京都市に入るが、琵琶湖疏水は滋賀県側の施設も含めてすべて京都市の所有とのこと。
トンネルと出ると、山縣有朋の扁額がある。「廓其有容(かくとしてそれいるることあり)」と書かれている。悠久の水をたたえ,悠然とした疏水のひろがりは,大きな人間の器量をあらわしているという意味らしい。
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