釧路・根室の簡易軌道
昨年から釧路市立博物館で「釧路・根室の簡易軌道」展が開催されていました。簡易軌道とは、北海道で春の融雪期に道路がどろどろになり、交通が困難な状況になるのを打開するために敷設された鉄道で、戦前は内務省北海道庁(国)が所管し、「殖民軌道」と呼ばれました。1924(大正13)年に厚床~中標津が開通、その後、釧路・根室地方では鶴居、標茶、浜中、別海の各町・村営軌道が敷設されました。
当初はレールの上を馬が車両を引くものでしたが、その後ディーゼル機関車やガソリンカーの運行も行われました。
戦後は運輸省ではなく農林省が所管することになったことからも分かるように、いわゆる鉄道や軌道とは異なり、農地の開拓や農作物の輸送のための輸送機関という位置付だったようです。
本書はその記録集で、おそらく展示の内容を1冊の本に凝縮したものと思われます。全135ページに及ぶ力作で、各種の資料や写真、関係者の証言などで構成され、昭和30年代、40年代の写真もカラーが多く、とても貴重です。この内容で値段が750円と安いのも驚きです。
私はこの記録集を「新緑の道東鉄路 歴史探訪2日間」に参加した際、案内人の星さんから買い求めました。星さんはこの記録集の編者にもなっています。
私は昨年の北海道旅行の時、鶴居村営軌道の車両を見かけましたが、まだ他にも当時の簡易軌道の面影が一部に残っているところもあるようなので、機会があればそういったものも見てみたいと思いました。
« トレインビューレストラン | トップページ | 福知山線脱線事故で歴代社長に無罪判決 »
「鉄道関連書籍」カテゴリの記事
- 宮脇俊三の紀行文学を読む(2022.04.07)
- 時刻表2022年3月号(2022.03.05)
- 大相撲と鉄道(2021.04.15)
- 鉄道史学(2021.03.01)
- 時刻表2021年3月号(2021.02.28)
殖民軌道(簡易軌道)は、子供のころ「鉄道ピクトリアル誌」に廃止の話題が時々載っていました。またNHKのドキュメンタリーなどで牛乳を運ぶ殖民軌道が出てきたりと、こんなトロッコみたいな鉄道があるんだという程度の関心しかなかったのですが、2004年8月に交換のため停車した茶内駅で浜中簡易軌道の展示を見てから関心を持つようになりました。
北海道の鉄道は、廃線になったあとは必ず記念館が出来たりと鉄路に関する愛着は他の地域より強いように思います。九州の廃線跡がほとんど忘れ去られているのとは好対照ですね。
投稿: railway | 2017年6月14日 (水) 07時18分
railwayさん、おはようございます。
私も本書を通じて簡易軌道に興味を持つようになりました。本当にこんな簡易な鉄道があったとはのどかな時代があったのですね。
ところでおっしゃる通り、北海道は廃線になっても記念館ができたりして愛着が違いますね。北海道をドライブしていると思わぬところにかつての駅が整備されて残っていてびっくりします。
最近は見るだけではなく、何らかの形でそういった取り組みに関わっていきたいと思うようになってきました。
投稿: ミスターK | 2017年6月14日 (水) 07時46分
きょう朝のNHK(総合)ニュースで、道東の簡易軌道の話題を何回か放送していました。釧路市立博物館が開催した廃線跡ツアーなどが出てきました。盛況のようです。古いフィルムの映像もあり、興味深い内容でした。
投稿: railway | 2017年6月23日 (金) 06時25分
railwayさん、こんばんは。
私もそれ見ました。簡易軌道バス見学会というもので、釧路市立博物館のHPによれば今秋も開催されるようです。とてもレアなジャンルですが盛況でしたね。機会があれば参加してみたいと思いました。
投稿: ミスターK | 2017年6月23日 (金) 20時29分