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先日ロマンスカーに乗ったとき、車内で配布された小田急沿線車窓MAPとロマンスカーのカードです。どのあたりでどんな景色が見えるかといったことや鉄道豆知識がA3の用紙に目一杯記されています。海老名電車区、車掌区の制作です。新松田駅の手前東名高速下付近では夕方「赤富士」が見えるとか、秦野-渋沢間で前方に富士山が見えるとか、小田原駅は大雄山線から新幹線までホーム番号が通しで振られているとか、乗務員ならでは記述が満載です。
また、これと一緒にロマンスカーのカードも配られました。VSEとMSEです。一人に1枚ずつ配られましたが、私にはなぜか2枚くれました。私がミスターKと知ってのことでしょうか。裏面を見ると、子供向けのカードのようです。このカードはまだ他の種類があるかもしれません。
このような手作りのサービスはこころ温まります。
11月27日の出勤時、埼玉県南部では濃霧に包まれていました。その関係で埼京線は遅延しています。これは大宮駅東口氷川参道付近の様子で朝の6時30分ころです。信号や街灯がぼやけて見えます。
こちらはJR東日本アプリの列車位置情報画面です。私の列車は大宮駅のところで「+3」と表示されています。列車が数珠つなぎになっています。いつもは南与野で通勤快速の通過待ちを行うのですが、この日は後続の通勤快速が遅れていて待避なしです。列車は濃霧で徐行運転を行っています。
北戸田駅で「+7分」となっているのが私の電車です。このように数珠つなぎになると、先行列車は乗降に手間取り、後続列車はいつまでたっても回復運転ができません。
私の電車は大宮出発時点では新宿行でしたが、池袋駅停車中に新木場行に変更になったのも束の間、池袋駅を発車すると大崎行に変更になり、池袋-新宿間を走行中に再び新宿行に戻るという目まぐるしいものでした。新宿には定刻より30分遅れで着きました。会社に着くと埼京線で出勤する人だけが遅れていました。
この日の疑問は2つあります。一つは埼京線沿線以外は濃霧が発生しなかったのか。もう一つは埼京線はATCなので仮に濃霧でも車上信号を確認できるので徐行の必要はなかったのではないか、ということです。
それとJR東日本アプリをレベルアップして、乗務員に伝達される最新の情報をアプリにも配信してもらいたいものです。それがあれば先んじて情報を得て、最適な行動が取れるからです。
曳舟駅の渡り線をクリアし、亀戸駅1番線に着きました。この後は、横浜市営地下鉄の川和町駅から車両基地への臨時列車に乗りに行く予定です。
ところで亀戸駅の2番線には回送電車が停車しています。ホームの案内板を見ると1日に2本だけ2番線から発車するようです。今6時35分なのであと20分ほどで発車するようです。せっかくなので1日に2本だけの2番線発の電車に乗ってみることにしました。
ホームのベンチで発車を待ちますが、間際になっても発車する気配がありません。おかしいなと思ってホームに設置された時刻表を見ると2番線発の電車は7時33分発となっています。ダイヤが変わったのに案内板を変更していないのです。時刻表を見ると他に2番線発の電車はないようです。1日に1本に削減されたようです。
まだ少し時間があるので駅前のマクドナルドで朝食をとりながら時間をつぶします。
朝食を済ませ、ようやく時間になりました。発車の様子です。まっすぐ進みます。シーサスクロッシングではなく片渡りのポイントが2つで構成されています。踏切上にポイントがあるのも珍しいです。
これで2番線発の電車に乗車できました。ところで、反対に2番線に入線する電車はどのような運用になっているのでしょう。これにも乗ってみたくなりました。
曳舟駅の亀戸線ホームは5番線なのですが1日に1本だけ4番線から発車する電車があります。朝の6時25分発の電車がそれです。車庫から回送で曳舟駅に送り込まれる電車が4番線に到着し、渡り線を通って亀戸線に転戦するのです。 その電車に乗るべく11月14日大宮駅5時ちょうど発の埼京線でスタートし曳舟駅に向かいます。 曳舟駅ホームにはこのような案内板が出ています。
その電車は6時21分発の浅草行きの後に、回送で入って来ました。誤乗防止のホームアナウンスがしっかり行われています。
1日に1回だけ通過する渡り線を渡りました。これで目的達成です。
亀戸線は曳舟駅を出るといったん単線になり、その後複線になりました。
これから乗るのはANA684便で、3Aという窓際の席が予約できている。プレミアムクラスなので優先搭乗で先に機内に入れる。席に着いて荷物の整理などをしているとCAがやって来て「ご挨拶が遅れ申し訳ありません」と言う。別にあいさつが遅くれている感じはないが、常套句なのだろう。
隣の男性は浦和の須原屋書店のカバーの付いた本を持っているから、同じさいたま市民かもしれない。
17時15分出発の便なので食事にはやや早いのだが、ベルト着用サインが消えてから、食事のサービスが始まる。私は先ほどのラウンジでもお酒を飲んだが、ここでもワインと日本酒をいただいた。
食事はボリュームは少ないが、どれも手の込んだ料理で、おしながきを見比べながらおいしく食べ進む。
これは食べ終わった後に撮った写真なので、日本酒だけ飲んでいたわけではないので誤解なく。
今回の旅は大分車両センターへの回送線の乗車が主目的だったが、しまなみ海道を自転車で走り切ることができたし、また夜行フェリーやボンネットバス、それから日田天領水軌道のミニ列車に乗るなど変化に富んだ旅ができた。おしりが激痛に見舞われるというハプニングが発生したが、それも翌日には収まったから良しとしよう。帰りの電車では、お酒のせいか、疲れのせいか、居眠りをして大宮まで運ばれた。
これでシルバーウイーク大分車両センターの旅を終ります。
広島空港発17時15分のANA684便で羽田に帰る。この便はプレミアムクラスを予約してある。旅の最後は贅沢にいきたいものだ。おみやげを買い、保安検査場を抜けてプレミアムクラス専用のラウンジに入る。
内部はソファーやビジネス用のデスクがあり、エグゼクティブたちが集っている。
ビールサーバーがあり、スイッチを入れると自動的に注いでくれる。
おつまみもあるので、出発までのひとときをくつろいで過ごせる。
ソフトドリンクも充実していているので、お酒の飲めない人も大丈夫だ。
ウイスキーはサントリーローヤル、焼酎は桜島の「あらわざ」という銘柄が置かれていた。ロック、水割り、ソーダ割りができる。
飲み放題だから、早く来てたくさん飲むことも可能だ。私は結局、生ビール2杯と焼酎の水割りを1杯をいただいて時間切れとなった。おつまみがおかきのような米菓なので、たくさんは飲めない。たくさん飲みたい人は自分でおつまみを持参する必要がある。
プレミアムクラスは一般席より運賃が5800円高くなるが、専用ラウンジではお酒飲み放題、機内でもゆったりしたシートで食事付きでお酒も飲み放題なので、コストパフォーマンス的には悪くない。しかし、そもそもプレミアムクラスに乗るような人は元を取るとか取らないとか、そんなセコセコとしたことを言っているようダメだろう。
瀬野発15時10分の糸崎行に乗る。やってきたのは新型車両で「Red Wing」という愛称が付いている。車内が混んでいたので先頭車でかぶりつきを楽しむ。
白市駅に15時35分に着き、駅前の乗り場から15時39分発の広島空港行き路線バスに乗り換える。
専用のリムジンバスではなく、一般の路線バスだ。ICOCAが使用できるようになっている。交通系ICカードは相互利用が進んでいるが、まだSuicaが全国の路線で利用できるわけではない。西日本のバスではICOCAが使えるところが多いので、西日本の旅にはICOCAが欠かせない。今日午前中に乗った鞆鉄バスもICOCAが使えた。
15分ほどで広島空港に到着。さっそく展望デッキに出てみる。ここの展望デッキは100円の入場料金を取るのだが、そのための自動改札が壊れていて無料で利用できた。1日に何人の利用があるのか知らないが、100円の入場料金を取るために自動改札を設置するくらいなら、無料開放したほうがトータルの維持管理コストは少なくて済むような気がする。
この広島空港は今年の4月にアシアナ航空機が着陸に失敗し、空港東端にあるアンテナを破壊し、機体は滑走路を逸脱するという事故があったが、既に事故機は解体撤去され、アンテナも再設置され、現在は運行に支障はないようだ。
空港内はシルバーウイークの旅行を終え、東京へ戻る客などで混み合っていた。
スカイレールサービスは山陽本線の瀬野駅前にある「みどり口」から「みどり中央」までの1.3kmを運行している。ご覧のようなゴンドラ式の乗り物で、山の斜面を造成して作った分譲地「みどり坂タウン」の住民の足となっている。斜面が急で徒歩では大変なので、こういう乗り物が必要なのだ。私は1999年2月に初乗車して以来乗っていないので16年ぶりだ。
16年前の乗車方法は忘れたが、今回はなかなか変わった仕組みになっていた。まず乗車券はQRコード付きの紙製で、裏は白紙で磁気式の乗車券ではない。
その乗車券を自動改札に投入するのではなく、飛行機の改札と同じように受光部でバーコードを読み取らせる仕組みになっている。鉄道の自動改札でこういうものは珍しい。
下車する時には改札はなく、集札箱が設置してあるだけで、そのまま駅を出る仕組みだ。均一運賃で、乗車と下車のホームが別なので、これで事足りるのだろう。
終点に着いた車両はループ線を周り、反対側の乗車ホームへと向かう。
福山駅に12時過ぎに到着し、ここで昼食にする。ちょうど昼時なので駅の中の飲食店はどこも混んでいる。イートイン式のベーカリー「リトルマーメイド」だけは空いていたので、そこでとろり半熟卵のカレーパン、甘栗デニッシュ、カフェラテを購入。721円だ。
この後は昨日通り過ぎただけの尾道を散策しようと思ってたいたのだが、まだ脚に疲労感が残っていて、街歩きをする体力的余裕もなかったので、それではとスカイレールサービスに乗るべく瀬野まで行くことにした。まず福山発12時51分の山陽本線下り電車で糸崎まで進む。左手には瀬戸内海の島々が見える。
車窓には山陽地方独特の白い地肌でぽっこりと盛り上がった山々が見える。こういうのんびりしたところを通りながら、セノハチの峠を越え、14時21分瀬野駅に到着した。
鞆の浦観光を終え、鞆の浦発11時35分の鞆鉄バスで福山駅へと戻る。休日に一日4往復だけボンネットバスが運行されている。
車内はオールクロスシートで、ガイドの男性が沿線の景色の案内をしてくれる。それにしても車両の振動は相当なものだ。昭和33年製の車両で一時は廃車されていたものを修理して使っているらしい。現在の舗装道路でこの揺れだから、当時の未舗装の道路での揺れは想像を絶するだろう。昨日のおしりの痛みには逆効果だ。
ガイドの男性は乗客全員の出身地を聞いて回って、マイクで皆に伝えている。一番遠くから来ている人は茨城県で、次が私の埼玉県。東京から来ている人もいた。私の前に座っていた東京から来ていた夫婦は以前はさいたま市の東新井に住んでいたというから、今の私の家から4kmほどのところだ。世の中は意外と狭い。
途中、この歩道付近がかつての鞆鉄道の廃線跡らしい。1954年に廃止になった軽便鉄道だから、車窓から遺構を見つけることは不可能だった。
仙酔島の見物を終え、船で鞆の浦に戻る。鞆の浦は江戸時代からの古い街並みが残り、映画のロケなども行われるなど、最近はやりの観光地だ。この日も大勢の観光客でにぎわっていて、駐車場に入りきれない車が順番待ちをしている。
こちらは對潮楼から仙酔島の眺め。ここからの眺めは江戸時代、朝鮮通信使が「日東第一形勝(日本で一番の景色)」と賞賛したもので、その景色を楽しむための座敷が設けられている。
こういう渋い観光地にも外国人観光客が来ていて、周囲の日本人にお願いして写真を撮ってもらっている。日本語ではこういう時「ハイ、チーズ」というが、写真を頼まれた日本人は「ワン、ツー、スリー」と言っている。これで通じるのだろうか。
今日の予定は、まず福山市南部にある鞆の浦観光だ。風光明媚なところで古い日本の街並みが残る場所として知られている。福山駅からはバスで30分ほどのところにある。
鞆の浦港に着いて、まず対岸にある仙酔島に船で渡る。運賃は片道120円だが片道切符は販売されておらず、行きに往復の運賃240円を支払い、切符は行きの改札口で回収される。対岸では切符の販売はされていないようだ。
船は5分ほどで対岸に到着。島内を散策しようと思ったが、結構アップダウンがあり、昨日の疲労感も残っていたので、やめにした。仙酔島とは仙人も酔うほど美しい島という由来らしいが、海岸沿いをサラッと歩いただけなのでエラそうなことは言えないのだが、仙人も酔うほど美しいとは思えないごく普通の島だった。
20分ほどの滞在で再び船で鞆の浦に戻った。
今夜の宿泊は福山駅北口徒歩2分のところにある福山オリエンタルホテルだ。駅の北口を出ると、左手には福山城の石垣が見えている。
部屋はシングルルームでスペースも狭いのに、シルバーウイーク中なので1泊11000円もする。しかし、この日の福山、尾道、三原では空き部屋がないので仕方ない。
部屋に入った私はそのままベッドに倒れ込んだ。おしりの痛さもあるが、体力も相当に消費した。しばらく動けず洋服のままベッドの上でじっとしていた。ようやく1時間くらしてわずかながら体力が回復した。3階に大浴場があるのでそこに行ったみた。
大きな浴槽が一つと、樽風呂が3つあり、ビジネスホテルにしては充実した大浴場だった。昨晩乗ったフェリーの大浴場とは大違いだった。私にしては珍しくゆっくりと湯船に浸かり、サイクリングの疲れをいやした。
その後、近くのコンビニで2段重ねの焼肉弁当を買って夕食とした。ただビールを飲む気力はなかった。
一晩ぐっすり寝て、疲労は回復したようだ。しかし、まだおしりは腫れて痛い。
ホテルの窓からは新幹線ホームが見えているが列車は見えないから、ステーションビューホテルと言うべきだろう。
レンタサイクルを返却し、尾道駅へと向かう。当初は尾道ラーメンでも食べてから、ホテルに向かおうと考えていたのだが、そんな体力も食欲もない。
尾道に来るのは15年ぶりくらいだが、駅前には大きなビルがいくつも建っていて、様相が一変している。尾道駅も駅ビルに変わってしまったのかと思ったら、昔ながらのこぶりな平屋の駅舎が残っていた。
17時14分発の岡山行に乗る。115系の4両編成で、黄色1色のセンスのない塗装に変わっていてがっかりする。車内は混んでいたが運良く座れて、そっと腰を下ろす。相変わらずおしりが痛い。
車窓からは先ほど渡ってきた尾道水道や向島が見えているが、それを眺めたのも束の間、あっという間に眠りに落ちて、気が付くと、17時34分、もう福山だった。
残り8kmの表示が出て、気分的にはいくらか楽になった。自転車は下り坂はほとんど無動力走れるし、平地では、スポーツ車なので転がり性能が高いのでひとこぎすると結構進んでいく。それでも上り坂では脚に力が入らず、坂を押していくことには変わりない。
しかし、16時30分、ようやく向島のフェリー乗り場に着いた。ここからはフェリーで尾道に渡り、そこからは残り1kmほどだ。
フェリーはこんなに簡単なもので屋根もない。乗用車も乗れるようだが、この便にはいなかった。運賃は自転車代込で110円と格安だ。しまなみ海道を走ってきた人が何人も乗っている。
フェリーはわずか3分ほどで対岸に到着し、そこから市内を1kmほど走ると、ようやく終点の尾道港港湾駐車場に着いた。所要時間は7時間30分だった。途中、何度もリタイヤしようと思いかけたが、何とか走り切れた。24時間マラソンで走者がゴール寸前でフラフラになっている様子が放映されるが、私もそれにかなり近い状態だった。「負けないで」のテーマソングも頭の中を巡って来た。デビット・クン氏の三番目の教え「ステレオを買うこと」を思い出しながら、「負けないで」を口ずさむ。
これで四国から本州まで人力で渡ってきたわけだ。私は以前、関門人道トンネルと青函トンネルを徒歩で歩いたことがあるから、これで日本の主要な4島間を人力で渡ったことになる。
それにしても、このサドルにはずいぶんと苦しめられた。本格的なサイクリングを楽しむには足腰を鍛えるのはもちろんのこと、おしりの肉を厚くすることも重要だ。
生口橋を渡って因島に入る。小学校の時に因島から転校してきたT君のことを思い出す。このあたりから気温も高くなり、脚力もさらに弱くなり、タオルを入れたもののおしりの痛さは相変わらずで、ちょっとした上り坂でも自転車を押して歩くようになってしまった。しかも、歩いていても脚がつり始めてきた。もうピンチだ。尾道まではまだ20kmもあり、もう限界かもしれない。写真を撮る余裕もほとんどなくなってきた。
上り坂は自転車を押し、下り坂は惰性で一気に下ることを繰り返して、ようやく因島から向島に渡るサイクリングコース最後の橋・因島大橋が近づいてきた。この橋に至る坂は今までの坂のどれよりも急坂で、本格的なサイクリスト以外の全ての人は自転車を押して登っていった。
因島大橋はご覧のように自動車道の下を渡るようになっていた。籠の中を行くようだ。
因島大橋を下り、向島島内を走る。きれいな砂浜と海が広がるが、それを楽しんでいる余裕はない。
残り8kmの表示が見えた。ここで15時50分なので、あと2時間でタイムリミットになる。時速4kmで進んでギリギリの計算だ。上り坂が少なければよいが、間に合うだろうか。
瀬戸田サンセットビーチで動けなくなった私はおしりの痛さ対策で一計を案じた。上着として持ってきたジャケットを折りたたんでサドルに掛けて、クッション代わりにしてみた。ジーンズ生地の長袖の上着を持ってきていたのだ。すると痛さがわずかばかり軽減された。
その状態でしばらく走っていたが、生地が滑りやすいのか、サドルがツルツルしているのか、しばらく走っていると折りたたんだジャケットが落ちてしまうのだ。自転車がこぎにくくて仕方がない。
そうこうしているうちにコンビニが見つかり、そこで小ぶりなバスタオルを買ってみた。これを八つ折りくらいにしてサドルにかける。生地の関係で先ほどよりは滑らなくなった。
生口島は耕三寺という有名な寺があり、サイクリングコースもその前を通るが、そこを通り過ぎ、ジェラートのお店で再び休憩を取る。この店も伯方の塩ソフトと同様にサイクリストが必ず立ち寄ってジェラートを食べる決まりになっていて、私もここで瀬戸田レモンジェラートを買う。たしか300円位だった。
そこそこおいしいが、おしりの痛さがそれを上回っている。もうこのあたりでリタイヤしようかという気になってきた。明日の午前中の予定を変更して、残りの区間は明日走ろうかと考えたからだ。
それでもジェラートを食べ終えるといくらか元気が出てきて、もう少し走ってみようという気になってきた。
先ほど買ったミニバスタオルも結構滑るので、サドルに掛けるのではなく、ズボンの中のおしりの部分に押し込んでみた。このほうがタオルが滑り落ちず、かつクッション効果も高い。お尻のあたりが相当に膨らんでいて不格好だが、背に腹は代えられない。自転車から下りなければ、おしりのあたりの膨らみは気づかれないだろう。
こちらは生口島から因島に渡る生口橋で斜張橋だ。何とか渡り終えて、斜面を一気に駆け下りる。この快感はどの橋でも共通だが、このエネルギーをうまく再利用できないのかとも思う。
道の駅伯方の塩S・Cパークで小休止した後、11時30分再スタートする。次の橋は大三島に渡る大三島橋だ。尾道まであと46kmとなっているから、70kmのうちようやく3分の1を走ったことになる。時刻はちょうど12時だから、計算上は尾道まであと5時間かかることになる。そんなに走れるだろうか。スポーツタイプの自転車なのでサドルが半端じゃないほど固くて、おしりが痛くて、自転車をこぐたびに座骨に激痛が走るようになってきた。タイヤもスポーツタイプで空気がパンパンに入っているのもそれに拍車をかけている。サドルに座らずに立ちこぎをしたりするが、それも限界がある。私のことをさっそうと追い抜いていくサイクリストたちのおしりは大丈夫なのだろうか。
こちらは道の駅多々羅しまなみ公園。サイクリストの聖地の碑があるらしいが、そんなところに寄っている余裕はない。
続いて多々羅大橋に渡るスロープを上っていく。おしりの痛みはだんだん増してくる。急坂で自転車に乗ったままでは上がれないので、押して登る。このあたりから先の上り坂では必ず自転車を押して登るようになった。脚力もだいぶ弱ってきたようだ。
橋の中央部が愛媛県と広島県の県境になっている。橋を渡り終えた広島県側にはなぜか警察官が一人立っていて、広島県に入る人に目を光らせていた。
こちらが生口島の瀬戸田サンセットビーチ。白い砂浜で、きっと夕日がきれいなのだろう。このあたりで半分くらいの距離を進んだはずだが、しかし私はおしりの痛みに耐えかねて、このビーチでしばらく動けずにじっとしていた。
一番目の島である大島島内の走行を終え、伯方・大島大橋のアプローチへと向かう。ここは何とか自分の脚力で登り切った。
橋の上から、これから向かう道の駅伯方S・Cパークが見えている。あそこで小休止することにしている。もうひと踏ん張りだ。
11時15分、道の駅に到着。ここまで22kmを1時間45分で走ってきたことになる。途中写真を撮りながらだが、平均時速は12kmとなる。尾道には18時まで着かないと自転車の返却ができないので不安になってくる。
ここは伯方の塩で有名な伯方で、「♪は、か、た、の、しお」というCMは皆様もご存じだろう。
サイクリングの人はここで塩ソフトを食べる決まりになっている。塩気は特に感じないが、塩分補給にはなっているはずで、しっかりとした固さのソフトクリームでおいしかった。デビッド・クン氏の二番目の教え「おいしいものを食べること」を実践する。目の前はビーチになっていてきれいな砂浜が展開する。
ここでは合わせて「塩と夏みかん」というドリンクも買った。
受付手続きに時間がかかり、ようやく9時半にスタートした。昨年5月、片上鉄道の廃線跡をサイクリングした時は半袖で走ったので腕が真っ赤になり、軽度の火傷状態になったので今回は長袖のTシャツを着てきた。それから長時間の走行になるので、専用のサイクリンググローブも買ってきた。さらにサイクリングターミナルでヘルメットまで借りたから準備は万端だ。スポーツタイプの自転車に乗るのは初めてだが、乗車姿勢に違和感はない。ただ、サドルが固いのとタイヤに空気がパンパンに入っているので、ゴツゴツとした乗り心地でおしりが痛い。
まずは来島海峡大橋を渡る。橋の入り口には遮断機がある。悪天候の時はこれが降りて通行を遮断するのだろう。橋は標高が高いので自転車では一気には上れないので、ループを描いて坂を上っていく。いきなり難関試験が待ち構えているわけだ。この自転車のギアは前3段、後ろ8段というもので、前後の歯車の組み合わせにより、24段変速が可能だ。
しかし、あまりの急坂なのか、私の脚力が弱いのか、24段の一番軽いギアで登るのがやっとだ。それでも歩くのとほとんど変わらないスピードで、最初からこれでは先が思いやられる。
ようやく橋の上部まで登ってきた。橋の上には専用の自転車道があり、そこを進んでいく。ただ、自転車のほかに歩行者と原付も同じところを走るので注意が必要だ。一方隣は高速道路で猛スピードで車が走っている。丈夫なガードレールがあるので危険はないが、高速道路の路肩にいるのと同じなので相当にうるさい。
橋の上から瀬戸内海を眺める。さすがに眺めがよい。走っていても爽快だ。やって来てよかった。高校の文化祭の講演でインド人のデビット・クンという人が、「お金があったら、次の3つに使いなさい。一つは自転車を買うこと、二つ目はおいしいものを食べること、三つめはステレオを買うこと」と言っていたのを思い出す。自転車は借りただけだが、こうして風を感じて走ることはその教えにつながる。
しまなみ海道は徒歩で渡ることも可能で、そういう人ともときおりすれ違う。
来島海峡大橋を降りてくる。下りはスピードが出過ぎるのでブレーキをかけながら下りる。風を切って気持ちがいい。苦労して登った見返りがこれで、サイクリングの醍醐味の一つだろう。ただ、調子に乗ってスピードを出し過ぎると、落ち葉や水たまりでスリップし、横転してしまうのでもったいないが慎重にブレーキをかけてスピードを調整する。
しまなみ海道のサイクリングロードは海峡部はしまなみ海道の高速道路の脇を走るが、島内は一般道路を走るようになっている。青いラインが引いてあるので、これにしたがって走っていけば道に迷うことはない。車道の幅の広いのと交通量が少ないのとで、路肩を走っていても危険を感じることはない。青いラインには1kmごとに距離が示され、だんだんに尾道までの距離が減っていく。
最初の島である大島内を走って行くと急坂が現れた。一番軽いギアにしても私は登れなかった。仕方がないので自転車を押していく。脚力のなさを痛感する。
これから渡る伯方・大島大橋が見えてきた。あの高さまで登るのかと思うと、だいぶプレッシャーがかかってきた。
7時40分頃、サンライズ糸山に到着した。受付は8時開始なので少しは行列しているかなと思って来たところ、すでに目の子で数えて100人くらいは並んでいる。想定外の人気だ。私はあわてて最後尾に並んだ。さすがシルバーウイークの中日だ。
サンライズ糸山には確か300台以上の自転車があるので乗れないことはないだろうが、これでは受付に相当時間がかかりそうだ。
多客期なので受付開時間を早めるのかと期待をしたが、それはなく定刻に受付が開始された。
受付担当者は二人で、申込書を書かせたり、注意事項や料金の収受を行っているので、一組3分くらいかかっている。グループの場合は代表者がまとめて手続きできるようだが、列は遅々として進まない。この人数だとざっくり見積もっても1時間以上はかかりそうだ。
私の後ろの人も言っていたのだが、先に申込書を書かせておけば、受付時間が短縮できると思われるのに、そういったことはしていないようだ。だんだんと駐輪場の自転車が無くなっていき、不安になってくる。
結局私の受付が始まったのは9時10分頃だった。申込書に記入し、本人確認資料の提示を求められる。レンタサイクル料金500円と、自転車を尾道で返却するので乗り捨て料金1000円を支払う。そのほかに以前は橋の自転車通行料500円がかかったが、最近無料になった。
その後、別の担当者のところに行って自転車を選ぶのだが、乗りたいと思っていた軽快車と呼ばれるタイプの自転車はすでになく、スポーツタイプのものしか残っていなかった。軽快車だと前かごがあるのだが、スポーツ車だとそれがないので、リュックを背負っての運転となる。
係りの人にサドルの高さを調整してもらったり、ブレーキやギアの使い方などを教えてもらったして、乗る準備にも結構時間がかかった。実際に自転車が引き渡されるまでにはいろいろな段取りがあるので、受付だけ人を増やしてもトータル時間は短くならないみたいだ。
それはともかく、ようやく準備が整い、ここに着いてから約2時間後の9時30分ようやくスタートとなった。
松山駅から今治にあるサンライズ糸山へと向かう。サンライズ糸山はしまなみ海道のサイクリングターミナルのある場所だ。 松山駅は県庁所在地の駅にしては簡素で、時代遅れの駅のような感じがする。 しかし駅構内にはセブンイレブンがあり、私が駅に着くとちょうど営業を開始したところだった。これからサイクリングで本州まで渡るので、腹ごしらえのため、食料を調達し、 5時59分の多度津行きに乗る。3両編成だ。
まだお腹は空いていないので、コーヒーだけ飲む。セブンカフェの少し苦いコーヒーだが、私の好みのタイプだ。
JR四国は保線がいいのか揺れもなく、あっという間に最高速度まで加速する。
途中からは海も見えてきて、旅の気分が高まる。
いくつかの駅で退避や交換を繰り返し、7時17分サンライズ糸山の最寄駅波止浜に到着した。
ここからグーグルマップに従って歩くこと約20分でサイクリングターミナルのあるサンライズ糸山に到着した。
目の前にはこれから自転車で渡る来島海峡大橋が見え、気分が高鳴ってきた。
予定より早く乗船が始まり、予約してあった二等寝台に向かう。部屋は8人一部屋で2段ベッドが4つある構造となっている。私は窓際の下段だった。シルバーウィーク中ということもあり、この区画は満室だ。
私の区間の前がちょうど大浴場だったので、すぐに一風呂浴びてきた。入ってみると大浴場とは名ばかりで、洗い場は4人分、したがって浴槽もそれに応じた大きさで、とても大浴場と呼べる代物ではなかった。しかし、私は3番目に入ったので、なんとか利用できた。私が出る頃には利用客で本当にごった返していた。
一風呂浴びた後、船内の散策に出かけた。
まずエントランス。
こちらは座敷のフリースペース。
こちらは簡易な食堂。ビールも飲める。
こちらは2等座敷。意外と空いていた。
先月乗った北海道航路のフェリーよりはずいぶんこじんまりしていて、設備も古めかしいが、一応一通りのものはそろっている。
定刻に出航。関門橋は22時30分頃通過するらしいので行ってみた。
19時46分に小倉駅に到着。
駅構内の立ち食いうどん屋がにぎわっていたので、ここで夕食とした。
かしわうどんで360円だ。薄口の出汁に、鶏肉がたっぷり乗っている。なかなかおいしいうどんだった。
フェリーターミナルはここから徒歩10分ほどのところにある。小倉駅の北口は人通りも少なく、寂しげな雰囲気が漂っている。
到着したフェリーターミナルは先月北海道旅行で利用した新潟や苫小牧のフェリーターミナルとは比べものにならないほど小さかった。その小さなターミナルビルの中では、既に乗船待ちの客がイスに座りきれないほどの状態だ。待合室の座席は20人分くらいしかないのだ。
私は乗船手続きを済ますと、ターミナルビル前の階段に腰を下ろし、時間になるのを待つ。外ではあるが寒さを感じるほどではない。船の出港は21時55分だが、乗船はその1時間前からとなっていたが、予定より早く20時45分から乗船が始まった。
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