「英語構文演習」
私に美しい日本語とはどういうものか教えてくれたのは宮脇修三さんであると昨日お伝えしたが、実はこれから紹介する人も私に美しい日本語を教えてくれたのだ。ちょっと鉄道ブログと外れるのだが、私のブログの文章に影響している人なので紹介したい。
私は昭和56年、大学受験に失敗し、御茶ノ水にある予備校に通うことになった。その中で「英語構文演習」という授業を担当していたのが伊藤和夫先生だ。この先生こそが、私に美しい日本語とはどういうものかを教えてくれた人なのだ。
この予備校の英語の授業の特徴は、あらかじめテキストの英文を全文和訳して授業に臨み、先生の訳文と自分の訳文のどこが違うのか、なぜ先生の訳文でなければならないのかを考えるということだった。
そのとおりに予習し、訳文を書いて初めての授業に臨んだ私は、自分の英語の読解力のなさに驚いた以上に、自分の日本語の文章力のなさに驚いたのだ。先生の訳文は日本語としてもなんと分かりやすく美しいのか。それに引き換え、私の訳文はまったく日本語になっていないのだ。
私は英語を日本語に表現する術を持っていなかったのだ。これでは浪人するのも無理もないと悟った。英文の内容を捉えていれば、必然と日本語の訳文はできあがると思い込んでいた私は、英語の授業の中で日本語の文章を作る難しさを感じたのだ。本当に新鮮な驚きだった。
それ以来、逆に文章で表現する面白さを感じ、少しでも分かりやすく美しい日本語を書こうと今に至るまで心がけているのである。
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