前置きが長くなったが、ようやく100系の紹介になる。この100系は東海道新幹線では既に引退していて、山陽新幹線でも今年3月までの運行となっている。今では一日わずか3本しか運転されていない。その1本が岡山発6時29分発のこだま725号広島行きだ。月曜の早朝なのでテツは少ないが、それでも5~6人がカメラを構えている。
とんがった先頭部分と細長いヘッドライトが特長で1985年のデビューだ。私もデビュー当時、わざわざ東京駅まで見に行ったものだ。当時はまだ国鉄の時代だったが、その国鉄離れした洗練されたデザインに魅了されものだった。
それまでの新幹線は0系のみだったのだが、東海道新幹線開業から21年でようやく新型車両が投入されたのだ。2階建てのグリーン車と食堂車を組み込み、大人気だった。
私はデビュー翌年(1986年)の3月に東京駅発8時ちょうどのひかり3号で、この100系に初めて乗車した。九州の国鉄全線を完乗するために岡山まで乗車したのだ。まだ大学4年生だった。
しっかり倒れるリクライニングシート、座席2つ分ある大きな窓、スクロール式の電光掲示板、落ち着いたベージュ色の装飾など、それまでの0系と比べて大きく進歩したという実感がした。最高速度も東海道新幹線区間では時速220km、山陽新幹線区間では時速230kmに引き上げられ、車内の電光掲示板では現在のスピードも表示された。
そういった懐かしい思い出がある100系も高速車両の登場で活躍の場が狭められ、引退間近となっている。
今回乗車する100系は山陽新幹線用にリニューアルされたもので、6両編成、普通車のみというシンプルなものだが、普通車でも横4人掛けでゆったりしている。乗客は少なく、1両に10人くらいだ。
定刻に発車する。窓外はまだ薄暗い。ゆったりとした加速でスピードを上げていく。N700系の加速感と明らかに異なるが、こういうほうが貫禄がある。
各駅停車なので最高速度に達するとまもなく減速していく。新尾道では後続ののぞみ601号に抜かれる。岡山を17分も後に出た列車なのに、もう追い越していくわけだ。
途中駅では広島に向かう通勤客が乗ってくるが、それでも乗車率は50%程度だった。
7時38分、定刻に広島駅着。まだまだ活躍できそうな車両で、引退してしまうのは残念だ。
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