アイアンホース号
2008年6月、北海道の小樽市総合博物館に来ました。ここは北海道開拓時代の鉄道、歴史が学べる博物館で、北海道鉄道開通起点の碑が示すように、すでに廃止になっていますが北海道鉄道発祥の路線手宮線の一部区間を取り込んで設置されています。かつては小樽交通記念館と名乗っていた通り、園内には北海道で活躍した数々の列車が静態保存されています。ただし、大半の車両が野ざらしの状態で展示されているので、保存状態はよくありません。
それはともかく、その園内にアイアンホース号という蒸気機関車が運行されているのです。博物館に入るには400円の入場料金がかかりますが、これに乗るのは無料です。中央駅と手宮駅の間、約300mほどを1往復します。先頭の蒸気機関車は1909年アメリカ、H.K.ポーター社で製造されたもので、カウキャッチャーもついていてアメリカ開拓時代を感じさせるものです。炭水車にコカコーラのプレートが貼られているところからすると、同社がスポンサーになっているようです。
発車時刻を知らせる放送があると、園内の見学者の大半が乗り場に集まってきました。牽引する車両は、屋根つき車両1両、オープン客車2両という構成で、大半の乗客はオープン客車に乗ります。大きな音で汽笛を鳴らし、出発します。蒸気機関車の魅力は、物悲しく聞こえるこの汽笛の音にあると私は思っています。距離が短いのでスピードはでませんが、線路を確かめるかのように、しっかりと走ります。あっと言う間に手宮駅に着きます。ここで機関車の付け替え作業を行います。機関車だけ切り離され、転車台で回転し、機回し線を通って反対側に連結されます。この間、乗客は安全確保のためいったん車両から降ろされますが、皆車両をバックに記念撮影にいそしんでいます。
再び、汽笛とともに出発し、中央駅に戻ります。乗っている時間はわずか5分ほどですが、古きよき北海道開拓時代を感じさせてくれる楽しい鉄道でした。
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